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パフォーマンスマネジメント 人事評価

時代遅れの人事評価制度を刷新する (1)Rethink:これまでの制度・慣行を見つめ直し、新たな世界観を獲得する

投稿日:2018年9月7日 更新日:

はじめに(連載趣旨)

7月18日に、『時代遅れの人事評価制度を刷新する』(タムラ・チャンドラー著、ヒューマンバリュー出版)が発刊されました。

時代遅れの人事評価制度を刷新する

不確実な状況に対応し、社会にとっても、働く人にとってもより価値のある組織を目指す上で、従来のパフォーマンス・マネジメントを見直す動きが注目を集めています。

パフォーマンス・マネジメントは、狭義の意味では人事評価制度とも言えますが、日本においても様々な議論がなされ、実際に見直しに踏み出し、新たな制度を導入する企業も増えてきています。

しかし、いざ見直しをかけようとしても、総論では賛成だが、各論では意見がまとまらなかったり、どのように変えていけばいいのか分からなかったりという組織や企業が多いのが現状ではないでしょうか。

今回出版された『時代遅れの人事評価制度を刷新する』は、新たな制度の内容を示すだけでなく、その背景にある思想にも触れながら、どのように変革を進めていけばいいのか、そのプロセスにおけるポイントも示した非常に実践的な内容になっており、どこから制度の見直しに手をつけていいか悩んでいる多くの方の参考になるものと考えられます。

そこで複数回にわたって、この書籍の内容や人事評価制度刷新のポイントをご紹介していきます。

(『時代遅れの人事評価制度を刷新する』は、パフォーマンス・マネジメントを”Rethink”(再考)し、”Redesign”(再設計)し、”Reboot”(再起動)する、という3部構成となっており、この構成に沿ってそれぞれのパートの翻訳者がポイントを紹介します。)

四半世紀以上にわたって使い古された基本設計

期首に目標を設定し、年に1度の評価と中間面談を行うという従来型のパフォーマンス・マネジメントは多くの人にとって馴染みのあるものではないでしょうか?

こうしたパフォーマンス・マネジメントの基本設計は四半世紀以上にわたって形を変えておらず、機能不全に陥っていると著者のタムラ・チャンドラー氏は指摘します。

従業員が達成すべき目標について、従業員とマネジメント側が同意することを意図した目標管理制度(MBO)とレイティング(評価段階づけ)は、日本においてはバブル崩壊後、成果主義の導入と共に定量的評価の側面を強めながら一般化してきましたが、著者は、自身がボーイング社で働いていた経験を引き合いに出しながら、1980年代にはアメリカにおいて社会的な標準になっていたと述べています。

1980年代と現在を比べれば、インターネットが普及し、電話も固定電話からスマートフォンへと進化し、ロボットや人工知能の利活用、リモートワークや副業も含めた働き方の多様化が叫ばれたりするなど、様々な側面で社会が大きく変わっていることは明らかです。そうした中で、パフォーマンス・マネジメントだけが変わらないというのは特異に映ります。

実際、旧来型のパフォーマンス・マネジメントが機能不全に陥っていることを示す調査結果がたくさん示されています。

「年度末の評価が効果的だと考えているのは、マネジャーと従業員においては13%、CEOに至ってはたったの6%しかいない」(※1)

「95%のマネジャーは自分たちの会社のパフォーマンス・マネジメントの仕組みに不満をもっており、HRのトップの90%はパフォーマンス・マネジメントのプロセスから正確な情報を得られていないと考えている」(※2)

評価される側の従業員だけでなく、評価する側の立場にある人でさえほとんど納得していないというのは、いかにこのシステムが制度疲労を起こし、時代遅れのものになっているのかの証と言えるのではないでしょうか。

従来型のパフォーマンス・マネジメントに潜む欠陥

では、なぜこうした従来型のパフォーマンス・マネジメントは機能しないのでしょうか?

著者は、パフォーマンス・マネジメント本来の目的は間違っていないものの、旧来型の仕組みがパフォーマンスやマネジメント、人に対する捉え方に対しての間違った前提の上に設計されていることが問題だと指摘し、従来型のパフォーマンス・マネジメントがはらむ致命的欠陥を明らかにしています。

この中でも「私たちは機械ではない」というフレーズがあるように、従来型のパフォーマンス・マネジメントが、感情をもつ複雑性の高い「人」という存在に対し、機械論的な世界観にもとづいてアプローチしてしまっているのが最も大きな弊害と言えるかもしれません。

こうした機械論的なアプローチによって、人の感じる怖れや不安が助長され、それがパフォーマンスの低下やコラボレーションの欠如に繋がっていることが、脳神経科学の研究によって明らかになってきていますし(※3)、金銭による外発的な動機づけがパフォーマンスの質の向上に繋がらないという調査結果も多数出てきています。(※4)

これはパフォーマンス・マネジメントに限った話ではないかもしれませんが、いま私たちが何気なく実践している習慣や制度の背景にある前提やフィロソフィーを見つめ直し、人の本質に沿った前提を基盤にして、新たな習慣や制度を作り上げていく必要がますます高まっているのではないでしょうか。

新しいパフォーマンス・マネジメントに向けた世界観のシフト

時代遅れの古い習慣を手放し、人々の力を生かす新たな習慣を作り上げるために、私たちはどのような変化をすれば良いのでしょうか?

著者は、状況の変化に俊敏に対応し、情熱をもって価値を共創する集団を築くために、企業は「人々をどう捉えるのか」ということに関する従来の枠組みを変える必要があり、働く個人も自らの成長やキャリアに対しての考え方をシフトさせる必要があると主張します。

その上で、古いパフォーマンス・マネジメントがベースとする前提と、新しいパフォーマンス・マネジメントがベースとする前提の違いが「8つの根本的なシフト」として提示されています。

近年、企業を中心に据えたロジックで施策を考えるカンパニー・センタードなアプローチから、人々を中心に据え、その中でエンプロイー・エクスペリエンスをいかに高めるかというピープル・センタードなアプローチで経営を考える企業が増えてきています。ここで提示されている8つのシフトもそうした動きと符合していると言えるでしょう。

働く人々を監視が必要な対象とみなして管理するのではなく、信頼して情報と権限を与えてエンパワーメントし、豊かなエクスペリエンスを育んでいくこと。画一的な制度を当てはめるのではなく、それぞれの組織に合わせたカスタマイズを可能にすること。この2つが新しいパフォーマンス・マネジメントの根幹とも言えます。

では、そのような仕組みをどのようにデザインしていけばいいのでしょうか?次回のRedesignではこの部分について扱っていきます。

※1:Mark Murphy ”The 3 Reasons Employees Hate Performance Review”
※2:David Rock, Josh Davis, and Beth Jones ”Kill Your Performance Ratings: Neuro Science Shows Why Numbers-Based HR Management Is Obsolete”
※3:David Rock  “Lead change with the brain in mind”
Josh Bersin  “ The Myth of the Bell Curve: Look for the Hyper-Performers”
※4:Alfie Kohn and Jennifer Powell  ”How incentives undermine performance”
Nina Gupta and Atul Mitra  “The Value of Financial Incentives: Myths and Emprical Realities”

 < 作成者 >

株式会社ヒューマンバリュー 霜山元氏株式会社ヒューマンバリュー
霜山元

より良い社会の実現に向けて、様々な変化を創り出したいと考える中で、変化の過程や、変革の主体者となる人と組織について興味をもち、ヒューマンバリューに入社。企業や行政体、地域において、クライアントと協働して変革プロセスのデザインとファシリテーションを行っている。また、自律的な変化を通して、人的価値・事業価値・社会的価値を創造し続ける組織経営の実現に貢献すべく、Webアプリ「Ocapi(組織変革プロセス指標)」の開発や、パフォーマンスマネジメント革新の調査といった研究に従事している。

時代遅れの人事評価制度を刷新する時代遅れの人事評価制度を刷新する
~そのパフォーマンス・マネジメントは価値を生み出していますか?~

単行本(ソフトカバー) – 2018/7/18
タムラ・チャンドラー (著), 阿諏訪博一 (監修),
株式会社ヒューマンバリュー (翻訳) https://www.amazon.co.jp/gp/product/4990689380/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4990689380&linkCode=as2&tag=humanvalue-22&linkId=0bb30d9029e76b574fd10c4b0e31a905

 

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連載:時代遅れの人事評価制度を刷新する

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